Jay-Zの『Reasonable Doubt』を象徴するサウンドを作り上げた男、Ski Beatz(スキー・ビーツ)。ジャズのサンプリングを基調としながら、ストリートのタフさを失わない彼のビートは、数多くのクラシックを定義してきた。
彼が手掛けた膨大なアーカイブの中から、ヒップホップ史に刻まれた至高の5曲を厳選する。
目次
Jay-Z – Dead Presidents / Dead Presidents II (1996)
「哀愁のピアノとNasの声が織りなす究極のアンセム」 Skiの名を世界に轟かせた最高傑作だ。Lonnie Liston Smithのピアノをこれほどまでにドラマチックに、そして冷徹にループさせた手腕は圧巻である。静寂の中に緊張感が漂う、まさに「リリシストのための聖域」を提示した。
Camp Lo – Luchini AKA This Is It (1997)
「パーティーを彩る、華やかなホーンの魔法」 Dynastyの「Adventures in the Land of Music」を大胆に引用した、90年代を象徴するパーティーチューンだ。前述の「Dead Presidents」とは対照的な、Skiの音楽的引き出しの広さと、グルーヴを支配するセンスの高さが証明された一曲である。
Jay-Z – Feelin’ It (1996)
「極上のレイドバック。夏の夜を想起させるメロウ・サウンド」 『Reasonable Doubt』収録の名曲だ。Ahmad Jamalのピアノを用い、Jay-Zから「リラックスしながらも鋭い」フロウを引き出した。当時のNYの喧騒を忘れさせる、洗練されたサウンド・プロダクションの極致と言える。
Fat Joe – John Blaze (1998)
「東海岸の猛者たちが集った、威圧的な重量級トラック」 Fat Joe, Big Pun, Jadakiss, Nas, Raekwonという豪華布陣に対し、Skiは攻撃的で不穏なビートを用意した。サンプリングソースを「漆黒のエネルギー」へと変貌させる彼の力技が光る、Boom Bapファン垂涎のハードコア・トラックだ。
Curren$y – King Kong (2010)
「新時代のスモーカーズ・アンセム。ベテランの再覚醒」 2010年代、SkiはCurren$yとのタッグで完全復活を遂げた。アルバム『Pilot Talk』で見せた浮遊感溢れるサイケデリックなサウンドは、彼が単なる「90年代の遺産」ではなく、常に進化し続ける現役の天才であることを世界に知らしめた。