西海岸ヒップホップの黄金期を支えた「フックの帝王」ネイト・ドッグ(NATE DOGG)。その歌声は今もなお世界中で愛されているが、彼の死から15年が経過した今、その遺産を巡って最悪の事態が起きている。
ネイト・ドッグの実息子であるNathaniel Hale Jr.(ナサニエル・ヘイル)が、父の親友でありデス・ロウ・レコードの現オーナーでもあるSNOOP DOGG(スヌープ・ドッグ)を公式に糾弾した。「スヌープは父のマスター(原盤権)を不当に奪い取った」というその主張は、ウェストコースト・シーンの絆を根底から揺るがしている。
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遺産を巡る血の抗争。ネイト・ドッグの息子がスヌープ・ドッグを「略奪」で告発
2026年2月11日、ネイト・ドッグの息子Nathaniel Hale Jr.はSNSおよびメディアを通じ、スヌープ・ドッグに対する怒りを爆発させた。
Nathaniel Hale Jr.の主張によれば、スヌープはデス・ロウ・レコードを買収した際、ネイト・ドッグが残した楽曲の原盤権(マスター)を、遺族への適切な説明や正当な対価の支払いなしに手中に収めたという。ナイジェルはスヌープに対し、「ビジネスパートナーや友人としての仮面を脱ぎ捨て、真実を明らかにしろ」と迫っている。
告発の真相。なぜ「父親のマスター(原盤権)」が問題なのか
音楽業界において、マスター(原盤権)は「打ち出の小槌」に等しい。楽曲がストリーミングで再生され、映画やCMで使われるたびに発生する収益の大部分は、この権利を持つ者に流れるからだ。
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Nathaniel Hale Jr.が主張する「不当な取得」 Nathaniel Hale Jr.は、スヌープがデス・ロウの資産を買い取る過程で、ネイト・ドッグの権利をあえて「不透明な形」で処理したと疑っている。遺族側は、父が残した音楽の収益がどこへ消えているのか、詳細な会計報告を一切受けていないと主張している。
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ネイト・ドッグの遺産価値 ネイト・ドッグは213(スヌープ、ウォーレン・Gとのユニット)のメンバーであり、ドクター・ドレーの『2001』をはじめとする無数の名盤に貢献した。彼の歌声が含まれるカタログの価値は数千万ドル規模にのぼると推測される。その権利を家族が持っていないという事実は、遺族にとって死活問題である。
スヌープ・ドッグとデス・ロウ・レコード。救世主か、それとも冷徹な実業家か
スヌープ・ドッグは2022年、かつて自身が所属し、経営破綻していたデス・ロウ・レコードを買収した。これは当初、ブラック・ミュージックの遺産を黒人経営者の手に取り戻す「素晴らしい功績」として称賛された。
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買収がもたらした光と影 スヌープはレーベルをWeb3やストリーミング戦略で復活させた。しかし、その過程で過去のアーティストたちの契約や権利関係をどのように精査したのかは不透明なままだ。
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ビジネスの壁 「俺たちはファミリーだ」という言葉の裏で、音楽業界は冷徹な契約社会である。スヌープ側は「正当なビジネス手順を踏んだ」と主張するだろうが、ネイトの遺族からすれば、それは「死者の権利を安く買い叩いた」ように映っている。
音楽ビジネスの「罠」。アーティストの死後に残された家族が直面する地獄
今回の事件は、音楽業界全体が抱える構造的な問題を露呈させている。アーティスト本人が存命中はコントロールできていた権利も、死後は複雑な相続や古い契約の穴に飲み込まれやすい。
ネイト・ドッグの遺産は、彼の死後、長らく法的混乱の中にあった。管理人が何度も変わり、家族間でも争いがあったとされる。その「混乱」の隙を突き、巨大な資本を持つ実業家やレーベルが権利を独占するケースは後を絶たない。プリンスやマイケル・ジャクソンの遺族が戦ってきた道と同じ地獄を、今ネイトの息子が歩んでいるのだ。
西海岸の絆は修復不能か? 遺産争いの行方
もしNathaniel Hale Jr.の主張が法廷で認められれば、スヌープ・ドッグが築き上げた「慈愛に満ちたアンクル・スヌ ープ」というイメージは失墜するだろう。一方で、スヌープ側が「権利は以前の所有者から法的に正しく購入したものであり、責任はない」と突っぱねる可能性も高い。
西海岸ヒップホップは常に「Family first(家族が第一)」を掲げてきた。しかし、その「家族」の中に、権利から疎外された遺族が含まれていないのだとしたら、そのスローガンは空虚なものに聞こえてしまう。
この戦いは、単なる金の問題ではない。ネイト・ドッグという伝説が、死後もなおその家族を支え続けられるかという「尊厳」をかけた戦いなのだ。
— Follow @KillaKreww (@KillaJuniorman) February 7, 2026
Review
今回の告発は、USヒップホップ界における「権利の世代交代」の痛みを描いている。スヌープを「悪役」と決めつけるのは早計だが、ネイト・ドッグの息子がここまで声を荒らげなければならない現状に、音楽ビジネスの非情さが凝縮されている。読者には、楽曲を楽しむ裏側にあるこの「血を流すビジネス」の側面を直視してほしい。
引用元Nate Dogg’s Son Accuses Snoop Dogg Of Taking His Father’s Masters – The Source







