2026年のBETアワードにおいて、ヒップホップ・R&B界の至宝であるローリン・ヒル(Ms. Lauryn Hill)の功績を称える象徴的な夜が訪れた。今年から新設された「Living Legend Icon award」の記念すべき最初の受賞者として彼女が選ばれたのだ。ステージには彼女をリスペクトする大御所から現行シーンのトップスター、そして彼女の子供たちまでが集結した。音楽史に刻まれる感動的でハイエネルギーなトリビュートパフォーマンスの全貌を、現場の熱気と共にお届けする。
目次
2026年BETアワードで快挙!初創設「Living Legend Icon award」はなぜローリン・ヒルなのか
Ice Cubeの紹介とWyclef Jeanのナレーションで幕開け
今回の授賞式において、ローリン・ヒルへのトリビュートは心温まりつつも熱気に満ちた最高の瞬間となった。ステージの幕を開けたのは、西海岸のレジェンドであるIce Cubeの紹介だ。続いて、The Fugeesの同胞であるWyclef Jeanがナレーションを務めるビデオモンタージュが上映された。この映像によって、グラミー賞受賞者である彼女の天才性と、数十年に及ぶ輝かしい功績が改めてハイライトされた。彼女が音楽シーンに与えた影響の大きさは計り知れない。1998年のソロアルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』で女性ヒップホップ・アーティストとして初の5つのグラミー賞を制覇した歴史的事実が、その偉大さを物語っている。
映画『天使にラブ・ソングを2』から始まった奇跡
音楽パートのトップバッターを務めたのは、夫婦デュオのThe War And Treaty(Michael Trotter Jr. と Tanya Trotter)だ。。彼らは圧倒的な歌唱力で『Joyful Joyful』を披露した。実は、このゴスペル曲は1993年公開の映画『Sister Act II(天使にラブ・ソングを2)』の劇中で、ローリン・ヒルとTanya Trotterが10代の頃に共に歌った思い出の楽曲である。無名時代の原点を知る仲間が、2026年の大舞台で再びこの曲を歌い上げるという演出は、古参のファンにとってもたまらない演出となった。
豪華アーティストが紡いだ名曲たち!世代を超えた圧巻のトリビュートステージ
SZA、Doechii、Temsらが再現するThe FugeesのDNA
続いて、現代のR&B・ヒップホップシーンを牽引する女性アーティストたちが次々とステージに登場した。SZAとDoechiiは、The Fugeesのクラシック『Ready or Not』をエネルギッシュにパフォーマンス。さらに、SZAからバトンを受け取ったTierra WhackとTemsの2人が『Fu-Gee-La』を完璧なビート感で披露した。90年代半ばにヒップホップ、レゲエ、R&Bを融合させて世界を席巻したThe Fugeesの遺伝子が、現行シーンのトップスターたちに確実に受け継がれていることを証明するステージとなった。
Nasとの伝説的コラボ『If I Ruled The World』の再臨
さらにステージは熱を帯びていく。Doja Catがステージに現れ、ローリン・ヒルの最大の武器である「歌とラップの二刀流の才能」へオマージュを捧げる形で『Superstar』を披露した。そこへニューヨーク・クイーンズのレジェンド、Nasが合流する。2人は1996年の大名曲『If I Ruled The World』を joint パフォーマンスし、会場を狂喜させた。パフォーマンスを終えたNasは、「”Ms. Hill, you’re the greatest!”(ミス・ヒル、あんたは最高だ!)」と叫び、彼女への最大級のリスペクトを表現した。
家族の絆に涙。愛息ザイオンとYGマーリー、娘セラーが魅せた感動の瞬間
名曲『To Zion』の主役本人がステージへ
今回のトリビュートで最も観客の胸を打ったのは、彼女の子供たちによるパフォーマンスだ。まず、娘のSelah Marleyがステージに立ち、アルバムのタイトル曲『The Miseducation of Lauryn Hill』をエモーショナルにカバーした。これには客席のローリン・ヒル本人も感情を抑えきれない様子を見せた。さらに、息子であるYGマーリーが『Turn Your Lights Down Low』を感動的に歌い上げ、LizzoとRapsodyが1998年の大ヒット曲『Doo Wop (That Thing)』でステージを爆発させた。
そして、最も心温まる瞬間が訪れる。かつてローリンがキャリアの絶頂期に周囲の反対を押し切って出産し、その愛を歌った名曲『To Zion』のモデルとなった長男、Zion Marley本人がステージに登場したのだ。彼はレゲエのエッセンスを取り入れた見事なパフォーマンスを披露し、母親に最高の恩返しを果たした。その後、Alexia Jayyが『Killing Me Softly』を圧倒的な声量で歌い上げ、オーディション番組の覇者たる実力を見せつけた。
クライマックスはQueen LatifahとCommon!そしてローリン本人の降臨
「ジャージーの女王に敬意を」鳴り止まないスタンディングオベーション
トリビュートの最終局面を飾ったのは、ネイティブ・タン世代からの盟友であるQueen LatifahとCommonの2人だ。彼らはクラシック・ヒップホップの威厳を漂わせながら、名曲『Lost Ones』を熱演した。パフォーマンスの終了時、会場は総立ちのスタンディングオベーションに包まれた。Queen Latifahはマイクに向けてこう叫んだ。 「”Respect the Queen of Jersey,”(ジャージーの女王に敬意を)」 「”L. Boogie, Ms. Lauryn Hill!”」
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アワードの締めくくりとして、ローリン・ヒル本人もステージに帰還した。彼女は代表曲『Ex-Factor』を披露した後、『Everything Is Everything』で感動的なフィナーレを飾った。その後に栄えあるアワードの盾を受け取った。
Review
90年代から彼女の背中を追いかけてきた身として、この2026年BETアワードのトリビュートは涙なしには見られなかった。SZAやDoja Catといった現在の最前線にいる女性たちが、ローリンの「歌い、かつラップする」というスタイルの恩恵をいかに受けているかを証明する場だった。そして何より、あの『To Zion』で unborn child(お腹の中にいたザイオン)と歌われていたザイオン本人がステージでマイクを握る姿には、一人の音楽ファンとして深く揺さぶられた。彼女の撒いた音楽と愛の種が、2026年の今、大輪の血脈となって咲き誇った記憶に残る一夜である。
2026年BETアワードで初創設された「Living Legend Icon award」は、ローリン・ヒルという不世出の天才の偉大さを改めてその偉大さを印象づけた機会となった。映画での共演者、シーンの戦友、彼女を信奉する歌姫たち、そして最愛の子供たち。これほど多角的かつ立体的にリスペクトを捧げられたアーティストが他にいただろうか。