【続報】LA「グラフィティ・タワー」売却承認審理が7月へ延期!ロサンゼルス市側が開発業者に「NO」を突きつけた全内幕

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【続報】LA「グラフィティ・タワー」売却承認審理が7月へ延期!ロサンゼルス市側が開発業者に「NO」を突きつけた全内幕

前回の記事で紹介した、世界中のグラフィティ・ライターたちの聖地であり、ロサンゼルスの巨大な廃墟と化した「Oceanwide Plaza(通称:グラフィティ・タワー)」。あの未完の巨塔の運命が決まるはずだった売却手続きに、いま大きな急ブレーキがかかった。

米ローカル紙「LA Times」が2026年5月28日に報じたところによると、予定されていた落札承認の審理が2026年7月まで正式に延期されたのだ。延期の経緯は4月9日→5月19日→7月という2度の延期となる。4億7000万ドル($470 million)という巨額の購入提案がありながら、なぜロサンゼルス市側は土壇場でストップをかけたのか。2028年のロサンゼルス五輪を目前に控えたストリートの最前線から、その背景を詳しく読み解いていく。

【コラム】ロサンゼルス「グラフィティ・タワー」の再生とストリートカルチャーの転換点:2028年五輪へ向けた12億ドルの再始動

 

グラフィティ・タワーを巡る新たな法廷闘争

今回のニュースにおける最大の論点は、「4億7000万ドル($470 million)の購入提案があるにもかかわらず、ロサンゼルス市をはじめロサンゼルス郡及び米国財務省管轄のU.S. Trustee等がその承認に異議を唱え、審理が2026年7月に延期された」という事実だ。

買い手として名乗りを上げているのは、Dr. Kali Chaudhuri 率いる KPC Group、そして元総受託業者である Lendlease の連合体だ。彼らはクレジット・ビッド(債権を利用した入札)を主軸としたスキームで、この巨大な廃墟を買い取り、再開発を進める意向を示している。しかし、この一見スムーズに進むはずだった売却劇に対し、ロサンゼルス市側が公式に「待った」をかけたことで、事態は新たな法廷闘争へと突入した。

ロサンゼルス市側が「NO」を突きつけた決定的な原因——売却延期の理由

売却が延期された理由は明確だ。購入提案者側が、市が要求する具体的な開発計画や十分な資金調達の情報を提示していないからである。

ロサンゼルス市側が5月に裁判所へ提出した資料には、「現時点で提案されている開発計画は、市として承認できない」と一刀両断されている。市側はこれまで、KPC側と6回に及ぶ会合を重ね、Lendleaseとの協議や現地視察も行ってきた。しかし、権利(entitlements)や資金調達に関する不確実性が一切解消されていないのだ。

市側が特に問題視しているのは、以下の2点だ。

  • 「段階的開発計画(phasing plan)」と具体的な「建設スケジュール」の欠如

  • 直近の5月の連絡でも、フェーズ1のみの限定的な資金情報と建設計画しか提示されなかった点

タワーに設置する看板(signage)についての口頭プレゼンなどはあったものの、都市計画の承認基準を満たす書類は未だ揃っていない。つまり、市からすれば「実行可能性を示す具体資料の提出を求めている」という状態なのだ。

【新展開】KPCに挑む「第3の選択肢」——Cityviewの参入

さらに今回の構図を複雑にしているのが、KPC/Lendlease以外の買い手候補の存在だ。不動産専門メディア「The Real Deal」の報道によると、ロサンゼルスを拠点とする不動産デベロッパー、Sean Burton率いるCityviewが関与する海外投資グループが、オールキャッシュによる対抗入札の交渉を進めていることが明らかになった。

KPC/Lendleaseの4億7000万ドルがクレジット・ビッド(債権を利用した入札)主体であるのに対し、こちらは全額現金という点で性質が異なる。Cityviewはオーナーではなくフィーベースのデベロッパーとして関与する形だが、BurtonとKaren Bass市長との関係も含め、市側との親和性が高いとも報じられている。

5月下旬時点では、このCityview関連の買い手がOceanwideの最高リストラ責任者と正式な売買契約の交渉を進めているとされており、当初「ほぼ確実」と見られていたKPC/Lendleaseの案件は、事実上の一騎打ちへと様相を変えつつある。7月の審理は、単なる承認手続きではなく、2つの入札の最終決戦という性格を帯びてきた。

【ロサンゼルス五輪までのマイルストーン】2028年へのカウントダウンと焦燥

この売却延期は、2028年に開催されるロサンゼルス五輪に向けたマイルストーンに、極めて深刻な影を落としている。

2028年ロサンゼルス五輪まで残された時間は限られている。世界中から観光客やメディアが押し寄せる一大イベントまでに、この「落書きだらけの未完の巨塔」をどうにかクリーンアップし、まともな商業施設として機能させるのが市当局の至上命題だった。しかし、審理が2026年7月にズレ込んだことで、着工へのタイムリミットはさらに削られる。ただでさえ巨大な3棟のタワーを完成させるには膨大な時間がかかるため、五輪開幕に間に合わない可能性がいよいよ現実味を帯びてきた。

【ロサンゼルス・ダウンタウンの再開発】「Crypto.com Arena」周辺のリアルな現状

Oceanwide Plazaが位置するのは、ロサンゼルス・ダウンタウン(DTLA)の一等地、LAレイカーズの本拠地「Crypto.com Arena(旧ステープルズ・センター)」の目の前だ。

このエリアは、LAのエンターテインメントとスポーツの中心地として、莫大な資金を投じて再開発が進められてきたエリアである。その目と鼻の先に、最上階までグラフィティで埋め尽くされた廃墟が鎮座している現状は、街の活性化を目指す行政や投資家にとって「再開発上の課題」に他ならない。一帯の景観や治安への懸念はピークに達しており、このビルの行く末がDTLA全体の不動産価値と再開発の未来を左右すると言っても過言ではないのだ。

トリートの聖地か、都市の傷跡か?編集部が読み解く未来

90年代からヒップホップとロサンゼルスの歴史を見てきた編集部から見れば、このOceanwide Plazaは、資本主義の挫折とストリートカルチャーの爆発が融合した「究極のモニュメント」だ。行政がどれだけ「都市の傷跡(eyesore)」と呼ぼうが、世界中のライターがリスクを背負ってボムしたあの光景は、アートの歴史に刻まれる。

しかし、現実の都市開発は感傷だけでは動かない。ロサンゼルス市が今回見せた強硬な姿勢は、五輪を前に「中途半端な業者に買わせて、再び開発が頓挫するリスク」を本気で警戒している証拠だ。

日本のヘッズが次に注目すべきアクションは、2026年7月の次回の裁判審理だ。ここでKPC GroupとLendleaseが、市を納得させる具体的な資金力と「段階的開発計画」を提示できるかどうかに、あのタワーのすべてがかかっている。2026年7月の審理は、KPC GroupとCityview連合、どちらの青写真をロサンゼルス市が選ぶかという選択の場でもある。続報を待て。

Review

今回のLA Timesの報道は、グラフィティ・タワーという「カルチャーの象徴」が、現実の「巨額の不動産ビジネスと都市政治」の荒波にもまれている現実をリアルに突きつけている。

4億7000万ドルという数字だけを見れば解決に向かっているように見えたが、内実は計画の具体性不足が浮き彫りになった。市側が五輪を前に焦りつつも、妥協せずに高い基準を求めている姿勢からは、DTLA再開発にかける意地の強さが伺える。ストリートアートとしての価値を残してほしいというファンの願いと、クリーンな都市を目指す行政の思惑。2026年7月の審理で、その天秤がどちらに傾くのか非常に興味深い。

 

6. 引用元

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