早くも真夏の8月が終わり、晩夏へ向かっていくと実は師走まであと少しなのでは、と焦りを感じてしまう。一方で今年は比較的に涼しい夏となったため、例年より長い秋が楽しめるのかと期待をしている。
そんな26年8月最後の日は編集後記は編集長が担当させて頂きます。
2026年8月のニュース
THE ROOTS来日
Zeppとbillboard Liveという全く異なる会場で開催されるのも興味深い。きっと生音に酔いしれる夜となるだろう。
<開催日時・会場>
【大阪】
2026年8月31日(月)Zepp Namba 開場 19:00 開演 20:00
【東京】
2026年9月1日(火)Zepp Haneda 開場 18:00 開演 19:00
2026年9月3日(木)・4日(金)Billboard Live TOKYO
Billboard Hot 100
JAPAN Hot 100[ 2026/04/29 公開]
相変わらずランキングは購入特典もあるアイドル勢が強い。韓国からBTSを手掛けたパン・シヒョクがプロデュースした「TOMORROW X TOGETHER」がチャート1位。
| No1 | セツナハナビ (Setsuna Hanabi) | TOMORROW X TOGETHER |
| No.2 | 好きish | AKB48 |
| No.3 | Yes! 東京 (feat. 超特急,M!LK,SUPER★DRAGON,Sakurashimeji,ONE | N’ ONLY,原因は自分にある。,BUDDiiS,ICEx,Lienel) |
US Hot 100[ Week of August 29, 2026]
| No.1 | Choosin’ Texas | OElla Langley |
| No.2 | Stella Lefty | Boston |
| No.3 | I Knew It, I Knew You | Taylor Swift |
【考察コラム】AI楽曲の在り方

2026年8月、Tygaのニューアルバム『$TARFACE』で制作の一部にAIを使用したこと議論を呼んでいるようだ。
本人によれば、AIを使ったのは80年代風のシンセや一部のギターソロなどで、作詞とボーカルは自身で担当しているという。
その直後、Pitchforkは『$TARFACE』に0.0/10という極めて厳しい評価を付けた。レビューでは本作を「slop-pop」と表現し、80年代音楽の表面的な模倣、AIを使った制作、そして音楽そのものに感じられる創造性や個性の乏しさを痛烈に批判している。
さらにDoja CatもAIを使ったTygaを公然と批判。
Tygaはこれに対し、AIはAuto-Tuneと同じような「道具」であり、テクノロジーが進化する以上、それを使うことに問題はないという立場を示した。※
ここで考えてみたい
サンプリングはヒップホップの歴史において受け入れられてきたのに、なぜAIはこれほど強く拒絶されるのか。
もちろん、サンプリングは無条件に許されてきたわけではない。著作権や無断使用をめぐる論争は、ヒップホップの歴史そのものと切り離せない。既存の音を引用し、切り取り、組み替え、そこに新しい意味を構築することで発展してきた。
サンプリングが評価されるとき、重要なのは「他人の音を使ったかどうか」だけではない。リスペクトがあり、何を選び、どう組み替え、そこから何を生み出したのかが問われる。
新しいテクノロジーへの反発も、これが初めてではない。
2000年代、T-PainやKanye WestらによってAuto-Tuneが大胆な表現手段として広がったときも、その人工的な歌声は「本物ではない」と批判された。Jay-Zが2009年に「D.O.A.(Death of Auto-Tune)」を発表するほど、Auto-Tuneそのものが論争の対象になった。※
その後Auto-Tuneは単なる音程補正ソフトではなく、声そのものを加工し、新しい感情や質感を生み出す「楽器」のような存在へと変化していった。
T-PainやKanye Westの音楽が示したのは、新しい技術そのものが新しい表現を生み出せるということだった。
だからこそ、AIについても「使うか、使わないか」だけで議論するのは少し早い。
AIを使って未知の音を生成し、それを切り刻み、加工し、演奏や声、サンプリングと組み合わせながら、自分だけの音楽へと変換する。そこに明確な意図や個性があるなら、AIもまた新しい制作ツールになり得る。
実際、Pitchfork自身も『$TARFACE』のレビューで、AIを使うこと自体を禁止すべきだとは述べていないのだ。問題としているのは、AIを使った結果として表面的に貼り合わせただけのように聴こえることだ。ここに、今回の論争の核心がある。
AIは「新しいディグの手段」か、「考える工程を省くための装置」か
ヒップホップにおける「リアル」とは、必ずしも古い機材を使うことでも、サンプラーを使うことでも、すべてを人間の手だけで生演奏することでもない。
重要なのは、そこにアーティスト自身の選択と失敗、試行錯誤、そして音楽への執着が残っているかではないか。
サンプリングには、偶然レコード屋で見つけた一枚の音源を掘り当てる「ディグ」がある。
そこから一瞬のドラムブレイクを抜き出し、ピッチを変え、ループさせ、別のベースラインを重ねる。元の音源とはまったく違う意味を持った瞬間、そこには作り手の判断が刻まれる。
AIにも、それはできるはずだ。
問題は、AIを「新しいディグの手段」として使うのか、それとも「考える工程を省くための装置」として使うのか。その違いは大きい。
『$TARFACE』に対するPitchforkの0.0という評価も、単純に「AIを使ったから」という話ではない。AIを使った結果、音楽からアーティストの個性や葛藤まで消えてしまったのではないか――そこへの批判として読むことができる。
AIはこれから、音楽制作の現場にさらに深く入り込んでいく。サンプラーがそうだったように、Auto-Tuneがそうだったように、最初は「邪道」と呼ばれた技術が、数年後には当たり前の道具になっている可能性もある。
そのとき問われるのは、AIを使ったかどうかではない。AIを使って、何を生み出したのか。
AIを表現のための新しい道具として研ぎ澄ますのか。それとも、手間とコストを削るための免罪符にするのか。
ヒップホップが長い歴史の中で守ってきた「リアル」とは、機材の古さではない。
自分が生み出した音楽に、どれだけ自分自身が残っているか。
まとめ
個人的には新しいテクノロジーは大好きだ。AIを使う事がすべて「クリエイティビティの欠如」という評価になるのは早合点だと思う。
あくまでツールとしてディグやブラッシュアップする利用して、作り手が魂が宿り、人の心を動かすパワーがあればそれは十分に役割をはたしているだろう。
CLASSICと呼ばれるようなたとえ四半世紀以上経っても色あせないようなそんな音楽が好きだ。
AIを使う事で色あせないCLASSICが生まれ、何十年先も愛される音楽に出会える日はもう間近かもしれない。