西海岸ヒップホップの至宝、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)の半生を描く伝記映画『Snoop』の制作が進んでいる。Universal Picturesの発表によると、全米公開日は2027年8月6日予定だ。
ファンを最も熱狂させているのが、Snoopと同じ90年代ヒップホップを代表する重要人物のひとり、The Notorious B.I.G.(以下、Biggie)役のキャスティングである。抜擢されたのは、ネオ・ソウル界の伝説的アーティストであるD’AngeloとAngie Stoneの息子、SwayvoTwainだ。
単なる「二世タレントの話題性」にとどまらない今回のキャスティング。本稿では、配役の背景から、東西抗争の裏でSnoopとBiggieの間に存在したリアルな交友関係とリスペクトの史実までを紐解いていく
目次
Snoop Doggの伝記映画『Snoop』の全貌と主要キャスト
2027年8月6日公開予定!Snoop本人がプロデュースする豪華陣容
映画『Snoop』は、単なる伝記映画の枠にとどまらない。Snoop自身が自身のレーベルDeath Row Picturesを通じて、Brian Grazer(Imagine Entertainment)らとともにプロデューサーとして参加する。劇中にはSnoopの楽曲カタログが使用される予定だ。本人の視点が深く反映されることが期待されるプロジェクトである。メガホンをとるのは『Hustle & Flow』で知られるCraig Brewerだ。
Snoop、Tupac、Dr. Dre……話題の豪華キャスト一覧
主役のSnoop Dogg役にはJonathan Davissが抜擢された。その他、90年代ヒップホップを彩った重要人物たちのキャストも発表されている(※各メディア報道による)。
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Snoop Dogg 役: Jonathan Daviss
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The Notorious B.I.G. 役: SwayvoTwain(Michael Archer Jr. / Michael D’Angelo Archer II)
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Dr. Dre 役: Myles Bullock
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Tupac 役: Camron Jones
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Suge Knight 役: Tre Hale
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Beverly Tate(Snoopの母)役: Lauren London
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Shante(Snoopの妻)役: Laya DeLeon Hayes
Biggie(Notorious B.I.G.)役に抜擢されたSwayvoTwainとは何者か?
ネオ・ソウルの巨星D’AngeloとAngie Stoneを親に持つ“二重の音楽的系譜”
今回最も大きな話題を集めているのが、Biggie役を射止めたSwayvoTwain(報道によりMichael Archer Jr.またはMichael D’Angelo Archer IIと表記)だ。彼の血統は破格である。父は90年代ネオ・ソウルシーンの金字塔を打ち建てたD’Angelo、母は同ジャンルを代表するシンガーソングライターのAngie Stoneだ。
しかし、彼は単なる親の威光で役を勝ち取ったわけではない。近年はSwayvoTwain名義で継続的に自らの音楽をリリースし、アーティストとしてのキャリアを積み上げてきた。2022年の配信作品『Strictly for the Streets vol. 2』での小さな役を経て、今作がメジャー作品での本格的な演技挑戦(初の主要な演技役)となる。ネオ・ソウルの名門をルーツに持ち、自身も音楽活動を続けてきた若手が東海岸ヒップホップの最高峰を演じるというキャスティングは、シーンに大きなインパクトを与えた。
Snoop本人との映像と「Juicy」を想起させるキャプションで歓喜の報告
キャスティング発表後、SwayvoTwainは自身のInstagramを更新した。Snoop本人とリラックスした様子で過ごす短尺動画を投稿し、喜びを表現している。
“It’s all good baby, BABYYY” (すべて順調さ、ベイビー)
このキャプションはBiggieのクラシック曲「Juicy」のあまりにも有名な冒頭フレーズを想起させるオマージュとなっている。
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単なる敵対ではない:Snoop DoggとBiggieを繋いだリアルなリスペクト
90年代のヒップホップシーンは、Death Row Records(西海岸)とBad Boy Entertainment(東海岸)を中心に、メディアや過熱する周囲を巻き込んだ「東西抗争(East Coast vs. West Coast)」の真っただ中にあった。しかし、西海岸の看板であるSnoopと、東海岸の顔であるBiggie個人の関係性は、単純な「敵対」では括れない複雑でリスペクト溢れるものだった。
「New York, New York」と撮影現場での発砲事件の真相
Snoopが過去にFatman Scoopの番組で明かしたところによると、Tha Dogg Poundとの楽曲「New York, New York」のトラックは、元々DJ PoohがBiggieが出演するCM用に制作したものだった。BiggieがCM以外で使っていなかったため、SnoopはDJ Poohに許可を得て使用したという。
“we fucked with Biggie and we liked Biggie.”
(俺たちはビギーをリスペクトしていたし、ビギーが好きだったからだ。)
しかし、MV撮影のためにニューヨークへ渡った際、Biggieがラジオ番組で彼らの撮影場所を告げ、直後に現場近くで発砲事件が発生した。怪我人は出なかったものの、殺伐とした時代の緊張感を象徴する出来事となった。それでもSnoopは、これを時代の抗争によるものと受け止め、Biggie個人に怨恨を抱くことはなかったという。
Tupac殺害直後、Snoopが見たBiggieの悲しみ
1996年9月にTupac Shakurが銃撃され亡くなった直後、SnoopとBiggieは対面を果たしている。その際、SnoopはBiggieの瞳の中に隠しきれない深い傷心を見た。
“I can look in his eyes, and I can see that he hurt. He didn’t even have to say it… This is not a man that’s happy or glamorized; this is his friend that’s dead.” (彼の目を見れば、傷ついているのが分かった。言葉に出す必要すらなかった……幸せそうでも、華やかに振る舞っているわけでもなかった。死んだのは彼の友人だったのだ。)
すれ違いや周囲の対立構造の中で感情の行き場を失っていたBiggieが、自分だけにその哀しみを見せてくれたとSnoopは振り返る。なお、2人はブルックリンでの発砲騒動について触れることはなかった。「察していることは、わざわざ話す必要がない(what’s understood don’t need to be talked about)」からだ。
楽曲「Somebody’s Gotta Die」をSnoopが“和解の手(olive branch)”と受け取った理由
Tupacの死から数か月後、BiggieはSnoopをスタジオに招き、のちに遺作となるアルバムのオープニング曲「Somebody’s Gotta Die」の初期バージョンを聴かせた。同曲には、Snoopのレコードの売り上げに触れつつ、自身のリリックに名前を直接織り込んだ印象的なラインが含まれている。
2021年のRolling Stone誌インタビューで、Snoopはこの出来事を以下のように回想している。
“It was like the utmost respect for him to play that record for me… He knew that was an olive branch.”
(あの曲を俺に聴かせてくれたことは、最大の敬意だった……彼がオリーブの枝(和解の手)を差し伸べようとしていたのだと分かった。)
Snoopは、Biggieが自分から示された愛情に応え、抗争を終わらせようとしていたのだと受け止めたという。この出来事は、SnoopにとってBiggieから差し出された“olive branch(和解の手)”として記憶されている。
まとめ:映画『Snoop』が描くヒップホップ史の核心
2027年8月6日に米国公開が予定されている伝記映画『Snoop』は、単なる一人のラッパーの成功譚にとどまらない。
D’AngeloとAngie Stoneの血を引き、自らも音楽を紡ぐSwayvoTwainがBiggieを演じるという配役のドラマ。そして、過酷な東西抗争の渦中でSnoopとBiggieが交わしたリアルなリスペクトの史実。過熱したメディアの裏に存在した「本物の関係性」がスクリーンの上でどう描写されるのか、今から期待が高まるばかりだ。
Review|編集部が見る『Snoop』とBiggie役の意味
今回の配役ニュースを聞いた際、真っ先に感じたのはキャスティング陣の審美眼だ。Biggie役にD’AngeloとAngie Stoneの息子であるSwayvoTwainを起用するという決断は、単なる二世タレントの話題づくりにとどまらない。90年代ヒップホップとネオ・ソウルという、当時のブラックミュージックを代表する二つの潮流が、時を超えてスクリーンの上で交差するようにも見える。
伝記映画というジャンルにおいて、最も陥りやすい罠は「事実の単純化」である。特に90年代の東西抗争は、ともすれば「西vs東」という過度な対立構図や、血で血を洗う敵対関係としてステレオタイプに描かれがちだ。しかし、今回明かされたSnoop本人の証言が示す通り、過酷な環境の最前線にいた当事者同士の間には、音楽家としての深い相互理解と敬意が存在していた。
Snoop自身がプロデューサーとして参加している点も興味深い。当事者の視点が反映されるからこそ、「Somebody’s Gotta Die」をスタジオで聴かされたあの夜の空気感や、Tupac殺害直後の葛藤がどのようにスクリーンへ落とし込まれるのか注目が集まる。2027年8月の公開までまだ時間はあるが、90年代ヒップホップ史を後世に伝える重要な作品になる可能性を秘めている。
引用元
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主要ニュース・配役報道: VIBE D’Angelo and Angie Stone’s Son Will Play the Notorious B.I.G. in the Snoop Dogg Biopic
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映画公式発表・制作情報: Universal Pictures [Universal Pictures Release Schedule & Press Announcement]
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